経営の達人

木曜日, 6月 30, 2005

 

与信管理(その1)

昨年頃から世の中の景気は着実に回復し始めました。デジカメや薄型テレビをはじめとする情報家電は特に好調で、設備投資や人材雇用にも積極姿勢が見られています。景況感の改善に合わせ企業倒産もピークを超えたようですが、まだまだその件数は高水準となっています。昔から企業の資金繰りは景気が回復し始めた頃が一番苦しいとも言われます。世の中が明るさを取り戻し、注文も増え、売上が伸び始めた時こそ、売掛の貸倒れには注意が必要です。今回は貸倒れ回避のための与信管理について簡単にお話したいと思います。
売上はお金を実際に回収してはじめて確定します。いくら売上を上げても回収できなければ意味がありません。コンビニやスーパーのように現金引換えで売る場合を除き、現金回収と言っても通常は1 ヶ月程度の掛売り期間があります。手形取引の場合はもっと長く、業界によっては180 日手形が商慣行になっていることさえあります。それでは貸倒れを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。以下、いくつかポイントを解説します。
第一に「風評」に注意することです。火の無いところに煙は立たずと言われますが、意外に「噂」は信憑性があります。実際に裏付けがとれることは少ないですが、売り先の悪い噂を耳にしたら、出来る限りさりげなく周辺の情報を収集すべきです。取引条件の変更を打診してみてその反応を見るというのもひとつの方法でしょう。
第二に回収期限の遅れや取引条件(現金比率や手形サイト等)変更の申出に注意することです。資金繰りが苦しくなれば自転車操業になり、どうしても優先順位の低い支払先は後回しになります。一度ならず、二度、三度と回収が遅れる場合は要注意です。同時に現金支払いを手形に切り替えたり、手形のサイトが長くなってくればかなり重症だと思います。
第三に手形の信用情報の調べ方についてお話します。銀行に信用照会したり、帝国データバンクなどの信用情報機関に調査依頼してもよく分からない場合が多いと思います。比較的良い方法は手形の割引を銀行に依頼することです。特に手形の支払場所となっている銀行と取引があればそこに対して依頼するのが一番です。銀行は割引をする際、その手形発行企業の信用状態を調査し、問題があれば割引を拒絶します。発行企業がその銀行の取引先であればその信用状態は明確に判断できます。従って、割引を断られるような企業は信用状態に問題があると考えて良く、取引を解消した方が無難です。同様に、ファクタリング会社にファクタリングの依頼をし、その回答次第で判断することも良いでしょう。
以上代表的な信用判断基準についてご紹介しました。ご参考になれば幸いです。

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