経営の達人

日曜日, 7月 31, 2005

 

与信管理(その2)

今回は先月に引き続き与信管理、特に信用情報の見方についてお話します。
新規で取引を始める際、掛けで売ってよいものかどうか相手方の信用度が心配になります。前金で代金がもらえれば安心ですが、普通はそんな好条件には恵まれません。手形払いの場合だってあります。そんな時、事前に信用調査を行いますが、一般的によく利用される帝国データバンクなどの信用調査レポートの見方について簡単にお話したいと思います。信用調査レポートなどあてにならないというご意見もあると思いますが、それに替わる情報を手に入れるのは簡単ではありません。いくつか見るポイントを上げてみましょう。
まずは社歴が何年あるかを確認します。大手企業の子会社でもないかぎり設立間もない会社は事業の見通しが確立していない場合が多いと考えられます。10 年以上社歴があれば(その間社長が交代していないことが前提ですが)一応の経営手腕は認められるのではないでしょうか。
次に業績の推移を確認します。特に直近の申告所得の欄に注意します。40 百万円を超える申告所得がある場合は税務署で公示されるので客観的に確認可能なデータとなります。仮に粉飾決算をして利益を出しているような企業でもあえて40 百万円を超える所得を申告して数千万円の税金を支払う場合は極めて稀であると考えられます。従って申告所得欄に記載があればまずは利益の上がっている会社であると推定できるでしょう。
最後に財務諸表から粉飾決算の可能性を探るポイントをお話しましょう。実際は赤字なのに利益が出ているように見せかける場合、よくやる手は売上のかさ上げか、仕入原価の控除という方法です。この場合、貸借対照表の売掛金、在庫、買掛金に関して2 期間比較を行うと異常値が出ている場合が多く見られます。前年に比べて売上があまり増えていない、または減っているのに売掛金や在庫が増えている場合、売上が増えているのに買掛金が減っている場合は要注意です。特に売掛金や在庫が急に増えている場合は不良資産の発生も疑われます。粉飾決算については巧妙に行われていれば中々外部からは分かりませんし、今上げたポイントもあくまでも可能性を見る目安にしかなりません。一番大事なのは相手の経営者や従業員と継続的に接することで変化の兆候を読み取ること、情報のアンテナを高くして業界の噂に耳を澄ますことなど、地道な行動に心がけることだと思います。

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